小さな会社の業務改善は、ツール選びより「仕事の流れ」を見るところから

業務の流れを可視化する小規模事業者のチーム

「日々の仕事で手いっぱい。でも、何かを変えないと忙しさは変わらない」。業務改善を何から始めるか迷っているなら、まずは負担になっている仕事を1つ選び、始まりから終わりまでを書き出すことをおすすめします。

どこで手が止まり、何を繰り返しているかが見えると、必要な対策を考えやすくなります。この記事では、小さな会社や個人事業でも取り組みやすい進め方を紹介します。

目次

業務改善は「何に困っているか」を言葉にするところから

「便利なツールを入れたい」「AIを使ってみたい」と考えたときは、その前に、解決したい困りごとを一文にしてみてください。「業務を効率化したい」だけでは、どの機能が必要なのかを判断しにくいためです。

  • 同じ内容を別の表に何度も入力している
  • 必要な資料が見つからず、毎回誰かに聞いている
  • 担当者が不在だと、対応状況が分からなくなる

ここまで具体的になると、「入力先をまとめる」「保存場所を決める」「状況を共有する」といった対策を検討できます。新しいツールが必要な場合もあれば、今の道具の使い方や仕事のルールを変えることで試せる場合もあります。

IPAのDX SQUAREでも、システムを見直す際には、現在のやり方をそのまま前提にせず、目指す業務の姿から検討する考え方が紹介されています。この記事では、その視点を日常の仕事の整理に取り入れます。

最初に取り組む業務を1つ選ぶ

一度にすべての仕事を変えようとすると、準備や周知だけでも負担になります。最初は「繰り返し発生する」「担当者が困っている」「小さな範囲で試せる」という条件がそろう仕事を選びましょう。

経営者の印象だけで決めず、実際に作業する人にも「どこで時間がかかるか」「やり直しが起きるのはどんなときか」を聞いてみてください。同じ仕事でも、作業する人と確認する人では、負担を感じる場所が違うことがあります。

仕事の流れを、実際の順番で書き出す

きれいな図を作る必要はありません。紙や普段使っている表に、「誰が」「何を受け取り」「何をして」「誰に渡すか」を順番に書けば、整理を始められます。

以下は説明のための仮想例です。実在する企業や相談内容をもとにした事例ではありません。

問い合わせ対応なら、「問い合わせを受け取る → 内容を一覧に入力する → 担当者を決める → 回答を作る → 確認する → 送信する → 対応済みにする」と並べます。実際に使っている表や連絡手段も横に書き添えてください。

次に、同じ内容を書き直している場所、返事を待っている場所、判断に迷う場所に印を付けます。例えば、対応漏れの原因が「担当者が決まっていないこと」なら、回答文を速く作れるようにしても、その原因は残ります。まず担当の決め方と、未対応だと分かる表示を見直す、という順番が考えられます。

受け取りから作業・確認・引き継ぎ・完了までの業務フロー
業務の流れを順番に並べると、停滞や二重入力が起きる場所を見つけやすくなります。

変える前に、時間とやり直しを記録する

改善後に「楽になった気がする」だけで終わらないよう、着手前の状態を残しておきましょう。最初から細かな集計表を作るより、次の項目を続けて記録できる形にするのがおすすめです。

  • 処理した件数と、実際に手を動かした時間
  • 確認待ちなどで、仕事が止まっていた時間
  • 入力し直しや差し戻しが発生した件数と理由

比較するときは、同じ種類の仕事で比べます。繁忙期と閑散期で件数が違うなら、合計時間だけでなく、1件当たりの作業時間も見ます。準備や確認の手間も含めて記録すると、作業の一部だけが速くなったのか、全体の負担が減ったのかを確かめやすくなります。

AIを使う場合も、人が確認する工程を決めておく

AIを検討する場合は、先ほどの仕事の流れの中で、どの作業を支援させたいかを決めます。問い合わせ対応の仮想例なら、回答案を作る工程を候補にしても、内容の正しさを確かめる担当者と、送信を判断する担当者は明確にしておきます。

そのうえで、利用するサービスの設定や契約条件を確認し、入力してよい情報、出力内容の確認方法、判断できないときの対応を決めます。IPAが掲載する「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」でも、利用ルールの策定・文書化やリスク管理が扱われています。

どこまで任せられるかは、使う仕組みや扱う情報によって変わります。最初は架空の情報で試し、期待した回答になるか、確認や修正にどの程度の手間がかかるかを確かめましょう。

AIが作成した案を人が確認してから承認する業務フロー
AIを使う場合も、確認と最終判断は人が担う工程として残します。

1つ変えて、続けられるかを確かめる

最初の改善案が決まったら、対象と期間、担当者を決めて試します。先ほどの仮想例なら、問い合わせの一覧に「担当者」と「対応状況」を設けるところから始める方法があります。

試した後は、時間ややり直しの記録に加え、使う人の負担も確認します。「入力が増えすぎていないか」「不在時でも引き継げるか」「例外が起きたときに対処できるか」。運用しづらい部分を直し、続けられる形が見えてから対象を広げていきましょう。

今日の一歩は、困っている仕事を1つ選び、流れを書いてみること。「どこを整理すればよいか、一緒に考えてほしい」という場合は、ワンスフォルのDX支援・業務デジタル化をご覧ください。

参考資料

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